原広司+アトリエ・ファイ建築研究所, 越後妻有里山現代美術館 MonET, 越後妻有は豊かな自然にめぐまれているが、この敷地の環境は、街なかであり、特殊な条件下にある。まず施設自体が空間的魅力を持つこと、そして自らが集客力を生み出すという建築的特性を持つことを目指した。そこで建築それ自体が自然を包括したものとして存在するより他にないと考え、自然のひとつとして「池」を選択した。 囲い込みプランとした場合に純粋幾何学形態である「正方形」は他の形態よりも圧倒的に美しく、この敷地において雑然とした街並みの中で景観の調整子としての役割を果たす。また、表現としてコンクリート打放し仕上げとガラスを多用し、「静かなたたずまい」を呈した様相は、外界から切り離された別世界を実現し、内部空間に配置された幾つかの室は、「建物の中の建物」となり、「入れ子」の構造になっている。これは日本の伝統として寺や神社の聖なる場所に見いだされる建築の造り方でもある。 2003年十日町ステージ 「越後妻有交流館・キナーレ」として誕生した同建築の一部が、2012年、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]として生まれ変わった。そして2021年、常設作品を半分近く入れ替え、建築としても改修を加え、「越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)」としてリニューアルを迎えた。
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